ウスバシロチョウ

　【薄羽白蝶】アポロチョウの仲間と言われたほうが華やかだし、喜ばれるかも知れない。何よりシロチョウの仲間ではなく、アゲハチョウ科の Parnassius 属に含まれている。この属の蝶は氷河期の名残りとされ、世界中で高山に点々と生息している。多くは半透明の翅に太陽に擬せられる赤い斑紋があって、アポロチョウと呼ばれるのだが、このウスバシロチョウにはその斑紋がない。
　斑紋のないアポロチョウは世界的に珍しいうえに、この蝶は低山帯に生息しその数も多い。食草はムラサキケマンやエゾエンゴサクである。
　日本には同じ属のウスバキチョウという赤い斑紋を持つアポロチョウがいるが、それは北海道の大雪山に生息し、国の特別天然記念物に指定されている。
　（那須）
　

　アゲハチョウ科ウスバシロチョウ属

　 Parnassius citrinarius

　九州、沖縄を除く全国