ノイバラ

　【野茨】ゲーテの詩につけられたいくつかの有名な歌曲のおかげか、野ばらは有名な野生の花であるが、実は日本でノバラの名前を持つ植物はない。普通はノイバラをノバラと呼んでいるようである。ゲーテの詩と歌曲のおかげで、あでやかな花を期待していると、白い花には裏切られた気分になるかもかも知れない。
　花にはいささか裏切られても、潅木の植物を覆いつくす棘は歌のとおりである。棘の多いこの潅木は日本では昔から「茨」と言われ、荒地に生育する厄介者であった。茨の生い茂った荒地の開墾はさぞや労力を必要としたことだろうと思う。
　厄介者とされて放逐されたためか、都会でノイバラを見ることはめったにないが、沼津の放置された農地には良く見られる。多数集まる花は白く、見れば清楚な花である。学名のとおり、多数の花が群れ咲く。
　（沼津）
　

　バラ科バラ属

　 Rosa multiflora

　沖縄を除く全国