ガガイモ

　最初に見たのは沼津で、耕作が放棄され、茂っているアシに絡み付いて花をつけているのに気づいた。華々しいところはひとつもなく、花は淡紫色でまことに地味である。５裂する花冠の内側に密生する毛が見える。一度気がつくと目に入るもので横浜にもいくらでもあることが分かった。
　他の草木に絡み付いて成長するつる性の植物は大体に嫌われることが多く、ヤイトバナ、ヤブガラシなどいずれも嫌われものの雑草である。このガガイモも今では役に立たないとされるが、その実にはタンポポの冠毛のような種髪があり、昔はこれを綿の代わりにして用いたことがあるという。残念ながら私はガガイモの実を見たことがない。
　ガガイモの葉はつやがあり、葉脈が目だって美しい。何のことはない、花の咲いていない葉を何回も見ていた。
　(横浜都筑） 　
　

　ガガイモ科ガガイモ属

　 Metaplexis japonica

　沖縄を除く全国